「ごめんなさい。あなたとはもう、一緒の時間を過ごせない」
その言葉を聞いた瞬間、血の気が引くのを感じた。またか、というフラッシュバックが頭をよぎる。
SNSで知り合ってから約半年間、友達として関係を続けてきた彼女。日々のLINEやお出かけ、食事など、一緒に過ごす時間は楽しかった。しかし、どうやらそれもここまでのようだ。
大人同士の関係に一歩踏み込もうとしたことが、失敗だった。彼女にとって僕は友達でしかなく、僕にとって彼女は恋人だった。その思いの違いが、ついに明らかになってしまった。
こうなることは予測できていた。お互いの思いの違いに目をつぶってきただけだった。この結末が早いか遅いか、それだけの違いだ。
若い頃からよく振られていたが、この痛みは決して慣れるものではない。覆水盆に返らず、元には戻らない関係の終焉。後悔と諦めだけが残る現実。
このまま一週間、一か月、半年、一年と、心の重しを引きずっていくのだろうか。明けることのない暗闇を、下を向きながら歩いていくのだろうか。
…。
否。
それは良くない。心身にとってよろしくない。私生活にも仕事にも悪影響を及ぼす。いや、そういう即物的な話ではなく、そもそも楽しくも面白くもない、そのこと自体がよろしくない。
失恋の苦しみを癒す方法は、次の恋をすることだという。そう、空腹ならば食べればいいし、眠ければ眠ればいい。恋も同じはずだ。
というわけで、思い切って婚外活動を始めることにした。職場恋愛ではなく、SNSで友達から始めるでもなく、もっとアグレッシブに。
遅ればせながら自己紹介をすると、アラフィフ、妻と娘とは別居中、冴えないサラリーマンが僕。残念ながらモテ要素は皆無。
残された人生、面白おかしく、楽しむことができるだろうか？